第17章

橋野悠希は気の利いた手つきで長川涼にタブレットを持ってきて、彼の好きなアニメ『ドラ○もん』を呼び出した。

声の調子は温井従子そっくりに柔らかい。

「涼、このタブレットね、お姉さんが特別に調整したの。長く見ても目が疲れにくいんだよ」

「この針は、あと30分くらい温めておかないといけないから……アニメ見て待っててくれる? ね?」

長川涼はぱっと顔を輝かせた。

「お姉さん、どうしてぼくがドラ○もん好きって知ってるの?」

お母さんだって知らない。アニメが見たいと言っても、鈴木美由紀の答えは決まって「ダメ」。その代わりに勉強しなさい、と。

お母さんは言う。優秀にならなきゃ、鈴木家の継承権...

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