第35章

綾波東也は横目で橋野振武を見下し、鼻で笑った。

「へえ? 俺、ガキの頃にあんたに抱っこされたことがあるんだって? そりゃ災難だったな」

「ま、俺が丈夫で助かったよ。あんたみたいな人でなしと縁ができて、それでも今まで生きてるとか奇跡だろ」

「あなた……っ」

温井従子は顔を真っ赤にし、怒りで口元がひくついた。

彼女は橋野悠希を睨みつける。

「このクズ! 味方でも呼んで、後ろ盾にするつもり? ただの金持ちの坊ちゃんじゃない。私たちがあんたをどうにもできないと思うなよ」

玄関口に立つ橋野悠希は、冷えた笑みを返した。

「いいわ。待ってる」

声音だけをゆるめ、焦らすように続ける。

「...

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