第48章

レイクベイ別荘地。夕陽の残照が薄い霧を透かし、豪奢な邸宅の庭にやわらかく降り注いでいた。

長川お婆様は庭のロッキングチェアに腰を下ろし、古びたアルバムを膝に載せている。ページをめくる指先はゆっくりで、瞳の奥には思い出の光がちらついていた。

チン、と玄関の呼び鈴が鳴る。

お婆様は口元をほころばせ、そばの執事に言った。

「きっとユキね。迎えに行ってちょうだい」

言い終えるより早く、白い軽装のワンピースをまとった橋野悠希が、小さな薬箱を提げて入ってきた。

今日の彼女はいつにも増してしとやかで、唇には温かな笑みが浮かんでいる。けれど、その笑みの奥――目の下にだけ、かすかな疲れが滲んでいた...

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