第83章

最初、鈴木美由紀の声は妙に低かった。自信がないというより、どこか怯えたようで――それでいて、焦りだけが滲んでいる。

「大変! 涼が倒れたの!」

その一言で、長川貞也の顔色が変わった。涼はもともと体が強くない。だからこそ、常に誰かがそばで見ていなければならないはずだ。

ところが鈴木美由紀は、まだ元気そうにしている涼をちらりと見てから、改めて急かす。

「早く来て」

今度は声が大きい。まるで、誰かに聞かせるためにわざと張り上げたみたいに。

橋野悠希にも、それは当然届いていた。

彼女の瞳の奥を、ひやりとした影がよぎる。悠希は長川貞也のほうへ視線を向けた。

「叔父さん……私たち、一緒に...

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