第287章

 その瞬間、彼から凄まじい殺気が噴き出した。周囲が事態を飲み込むよりも早く、彼は大股で歩み寄り、テーブルの酒瓶をひったくると、そのまま葉山成井の顔面に拳を叩き込んだ。

 不意を突かれた葉山成井は、勢いよくテーブルに突っ伏した。ようやく何が起きたか理解し、罵声を上げる。

「誰だ!? 誰だよッ」

 すぐに起き上がろうとするが、石川秀樹は容赦なくその頭を鷲掴みにし、再びテーブルへと押し付けた。葉山成井の横顔が、そこにあったグラスに押し当てられる。

 石川秀樹は躊躇なく力を込めた。パリン、と硬質な音が響き、生々しくグラスが砕け散る。

 鋭利な破片が、葉山成井の頬に深々と突き刺さった。

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