第299章

 水原玲と石川秀樹は息を呑んだ。二人の視線が同時に子供たちへと向かう。次の瞬間、水原千尋の乗った赤い小馬が、突然狂ったように疾走を始めたのだ。

 千尋は必死に手綱を引くが、どうやっても制御できない。馬は時折いななき、前足を高く跳ね上げる。そのたびに、彼女の小さな身体が鞍の上で激しく上下に揺さぶられた。

 水原玲と石川秀樹は心臓が止まる思いだった。二人は弾かれたように千尋の方へ駆け出す。

 だが、秀樹の反応速度の方が一枚上手だった。

 小馬は猛スピードで突き進んでいく。その先には壁が立ちはだかっていた。このまま激突すれば、千尋もただでは済まない。壁に叩きつけられるだろう。

 その瞬間...

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