第300章

 あれは本当に、母と娘という血の繋がりがなせる業だったのだろうか?

 彼には分からなかった。

 ただ一つ確かなのは、あの時の光景を思い出すだけで、心が激しく揺さぶられずにはいられないということだけだ。

 石川秀樹は音もなく部屋に入ると、静かに問いかけた。

「大丈夫か?」

 不意に声をかけられ、水原玲はびくりと肩を震わせた。顔を上げると、そこには冷ややかな表情を浮かべた男が立っている。彼女は彼が娘のことを心配しているのだと思い、慌てて答えた。

「カオリちゃんなら無事ですよ。安心してください」

 石川秀樹は眉をひそめた。

「お前のことを聞いているんだ」

 その言葉に、水原玲は呆...

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