第305章

 実際、水原玲とて息子と離れたいわけがない。

 もし千尋と一郎が来てくれれば、四人の子供たち全員と一緒にいられることになるのだから。

 彼女は石川秀樹に視線を向けた。

 だが、口を開くより先に彼が動いた。

 彼は不機嫌そうに、娘の小さなおでこを小突く。

「お前は、お兄ちゃんと一緒にいたいだけで、パパとはいたくないのか?」

「そんなことないよ! おばさんも好きだし、パパも好き!」

 彼女はここぞとばかりに切り札を切り、石川秀樹への説得を始めた。

「パパ、聞いて。あたしとお兄ちゃんは毎日パパと一緒にいるでしょ? でも、あたしたちまだ一度もおばさんと一緒に寝たことないの。それに、お...

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