第310章

「い、いえ、まだです」

斎藤恭介はボスの凄まじい形相を前に、言葉を詰まらせた。

だが、報告しないわけにはいかない。

彼は重苦しい空気の中で唾を飲み込み、プレッシャーに耐えながら口を開いた。「あらゆる手段を使って尋問しましたが、奴は誰の指図でもないと言い張っています。ただ、世の中が不公平だと……。生まれながらにして全てを持っている人間がいるのに、自分のように生きるだけで精一杯な人間もいる。だ、だから、その鬱憤を晴らすために、お嬢ちゃんに手を出したと……」

「そうか」

その瞬間、石川秀樹の声は氷の欠片を含んだように冷え切っていた。

斎藤恭介は震えながら尋ねる。「石川社長、いかがなさい...

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