第312章

新田成宇は頷いた。

「そんな大事なことじゃないよ。ただ姉さんに会いたくて。それと……一言伝えておこうと思って。実は今回、父さんと母さんも一緒にL市に来てるんだ。もし……」

「もし、何?」

言い淀む彼を見て、水原玲は眉をひそめた。

「もし二人が姉さんに会いたいって言ってきても、会わないほうがいい」

新田成宇は迷った末、意を決してそう告げた。

瞬間、水原玲の表情が曇る。

幼い頃、両親の扱いは良くも悪くもなかった。ただ生活が苦しいからだと思い込み、彼らに認められたくて、彼女は必死に働き、金を稼いだ。

だが、自分の出自が公になった時、彼らの密談を聞いてしまったのだ。彼らは最初から、実...

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