第317章

つまり、彼女の休暇届は彼の手元に届いていないということだ。

水原玲は一瞬きょとんとしたが、すぐに淡々とした口調で答えた。

「自分の会社でどうしても外せない用事がありまして、お休みをいただきました。石川社長、何か急用でしょうか。必要であれば今から向かいますが」

毒にも薬にもならない、平坦な口調。まるで何事もなかったかのような態度だ。

だが、石川秀樹の胸中には、重苦しいしこりが残ったままだ。

彼は彼女と、もっと普通に言葉を交わしたかった。たとえ溜め込んだ怒りをぶつけてくるのであっても構わない。こんな冷ややかな、事務的な態度を取られるよりはずっとマシだ。

「石川社長、他にご用件は? な...

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