第325章

水原玲は、咄嗟に言葉が出てこなかった。

とりわけ彼のその視線に晒されると、自分のすべてを見透かされているような、逃げ場のない心地になるのだ。

その時、突然鳴ったスマートフォンの通知音が、彼女の窮地を救った。すぐに画面を確認すると、椎名優羽からLIMEのメッセージが届いていた。

『あんたも随分と薄情なことするわね。元はペアルックだったのに、別々の相手に贈るなんてさ。こっちは探すのに苦労したんだから。どう? 自分が手ずから彼のためにデザインした礼服を、彼自身が纏っている姿を見た感想は?』

水原玲は返信せず、そっとスマホをしまった。

その複雑な表情を見て取った石川秀樹が、短く問う。

「...

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