第381章

石川秀樹は彼女を見つめ、しばしの沈黙の後、ぽつりと漏らした。

「水原さん、見事な包丁捌きだ」

今回ばかりは、彼も認めざるを得なかった。あの技術は、俺が数年修行したところでおいそれと身につくものではないだろう。

ダイニングには、使用人と料理人たちが二列に整然と控えていた。皆、必死に笑いを噛み殺している。

無理もない。石川社長と若奥様が揃って厨房に立っているのだから、彼らとて手をこまねいているわけにはいかない。

とはいえ、二人が中にいる以上、下手に立ち入って邪魔をするわけにもいかず、ただ外で待機しているしかなかった。

まさか石川社長と若奥様のやり取りがこれほど滑稽で、どこか甘やかな雰...

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