第076章

「石川社長! 石川社長!」水原一郎は彼を揺さぶり、心配そうな顔で呼びかけ続けた。

石川秀樹はようやく目を開けると、そこにいたのが息子だと分かった。心配をかけたくない一心で、無理に笑みを見せる。「大丈夫だ。パパは平気だよ」

水原千尋も入ってきた。

彼女は水原一郎の隣に立つと、小さな手を石川秀樹の額に当てた。焼けるような熱さが一瞬で手に伝わり、すぐに小さな眉をひそめる。

石川社長のこの熱は、少なくとも四十度は超えている。

石川秀樹は彼女が怖がっているのだと思い、すぐに安心させようとした。「パパは大丈夫。心配するな。さあ、パパが朝食に連れて行ってやる」

石川秀樹は無理やり体を起こし、二...

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