第105章

松本直人は言葉を整えた。

「今日は僕たちが初めて会った日だ。まだお互いのことをよく知らないし、君もそうだろう」

話の途中で高橋春香が言葉を遮った。

「大丈夫よ。これから時間をかけてお互いを知っていけばいいわ。私たちの未来はまだ長いんだから」

松本直人は言い続けた。

「でも、家が決めた結婚の日はもうすぐだ。こんなに急いで結婚するのは、君にとって辛いんじゃないか?」

彼は高橋春香のようなお嬢様が簡単に妥協するとは思っていなかった。だが、次の瞬間、高橋春香は即答した。

「私は大丈夫よ」

松本直人は一瞬心が止まりそうになり、苦笑いを浮かべた。

「僕が言いたいのは、もしこの結婚に反対...

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