第170章

「お爺様、お爺様、どうかお願いですから」

看護師の一人が医者を呼びに走り、もう一人が急いで吐瀉物用の盥を持ってきた。病室は一瞬にして混乱に陥った。

高木さんは手が震えるほど動揺していた。お爺様の今の体では、こんな激しい動揺に耐えられるはずがない。

数分もしないうちに、院長が何人かの白衣を着た医師たちを引き連れて急いで入ってきて、老人の診察を始めた。もしこの病院で老人に何かあれば、病院全体が存続の危機に立たされることになる。

山本家の三人は呆然と立ち尽くしていた。事態の展開は彼らの予想をはるかに超えていた。

山本美咲は、老人が自分を嫌っていたとしても、せいぜい叱ら...

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