第215章

 伊藤美智子は顔をこわばらせ、周囲の夫人たちに声をかけた。

「うちの隆一はずっと独り身でね。どなたか、周りにいいお嬢さんはいらっしゃらないかしら? 縁談がまとまった暁には、ジュエリーの心配なんて一生させないわよ」

 夫人たちはざわめき、誰の家に年頃の未婚の娘がいるかを議論し始めたが、やがて一つの結論に行き着いた。

「高橋奥様、若社長はどのようなタイプがお好みなのでしょう? 心当たりがないわけではありませんが、お顔立ちとなると、前の奥様には到底及びませんからね」

 皆がため息をつきながら口々に言う。

「あのジュエリーは諦めるしかなさそうね。私の知る限り、若社長の前の奥様より美しいお嬢...

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