第48章

渡辺美代は冷静に唇を引き上げ、山本美咲に視線を移した。その目には一抹の嘲笑が浮かんでいた。

あの夜、彼女は指輪を元の場所に戻したのは、高橋隆一の前で山本美咲の本性を暴露し、彼が愛している相手がどんな人間かを見せるためだった。自分の姉を殺そうとするほど嫉妬深い女だと。

高橋隆一の前で、山本美咲の純粋で善良なイメージが崩れるかどうか見ものだった。

ちょうどいい機会が見つからずにいたところ、彼女自身がその機会を提供してくれた。

山本美咲は渡辺美代の一瞥に頭がゾワゾワし、目を合わせることすらできなかった。

「お巡りさん、確かに私が持っていましたが、山本さんの許可を得て持ち出したのです。今は...

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