第100章 四人家族

森川湊は小さな顔をくしゃりとしかめ、長いこと考え込んでから、ようやく森川汐里を抱き上げようとした。

けれど、どれだけ歯を食いしばって力を込めても、森川汐里はびくともしない。

森川湊は焦ってその場をぐるぐる回り始める。

それが可笑しくて、九条千秋はふっと笑った。グラスを置き、ひょいと森川汐里を抱き上げる。

「ほら、湊。君が背負わなくていい。パパが背負う。いいか?」

言ってしまった瞬間、九条千秋自身が一拍遅れて固まった。

口調があまりにも自然で、まるで本当に――自分たちが家族であるかのようだったからだ。

それでも彼は、思わず口元をゆるめる。腕の中で眠りこけている女へ視線を落とした。...

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