第112章 証拠が見つからない

九条千秋は車を、藤原グループからそう遠くない――けれど気づかれない距離に停めた。

二人とも、降りない。

ほどなくして、森川汐里は小野雨音が保温ポットを提げ、藤原グループの中へ入っていくのを見た。

夜になってようやく、彼女は藤原由真と並んで会社を出てきた。道中に怪しい動きは一切ない。

丸一日張りついても、森川汐里に新しい収穫はなかった。調査は、完全に足踏みだ。

それでも――この件が小野雨音と無関係だとは、どうしても思えない。

ただ、決定的な証拠を掴めていないだけ。そう信じたかった。

汐里の落胆を見て、九条千秋が声をかける。

「落ち込むな。秘密はいつか漏れるものだ。もし本当にあい...

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