第132章 小野雨音が酔っ払う

小野雨音は、人生の前半――その大半を、どうやって藤原由真を落とすかに費やしてきた。ほかのことに興味を持つ余裕なんて、ほとんどなかった。

酒で憂さを晴らす、なんてことですら、藤原由真のそばにいる時間が長かったせいで、いつの間にか身についていただけだ。

十杯を胃に流し込んだあたりで、雨音はもう方向も分からなくなっていた。ふらつく頭をぶんぶんと振る。

「すみませーん、こっち! もう十杯!」

店員は彼女の様子を見て、完全に出来上がっていると察したのだろう。困ったように、それでも親切心を滲ませて言う。

「お客様、かなり酔われてますよ。こちら、度数の強いお酒で――」

もともと機嫌が最悪だった...

ログインして続きを読む