第22章 奥様が死んだ

いつの間にか、木下直人は眉間にうっすら皺を寄せていた。

相手が何を言っているのか、細部までは聞き取れない。だが胸の奥に、嫌な予感だけがじわりとまとわりつく。

――案の定、次の瞬間。

使用人が、森川汐里のことを告げてきた。

「……え?」

傍観者にすぎない木下直人ですら、反射的に立ち上がってしまうほどの内容だった。

電話口の使用人も驚いたのか、声がみるみる萎んでいく。

「ど、どうされました、木下さん……?」

「……あとで、藤原社長に伝える」

複雑な思いを抱えたまま言い切り、木下直人は通話を切った。

胸の中がぐちゃぐちゃだ。

目の前には『会議中』の表示。木下直人は迷ったが、藤...

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