第28章 彼女を陥れたい

動きが遅すぎたせいで、小野雨音は見ていて癇に障り、いきなり平手打ちを叩き込んだ。

「手、潰れてんの? ブドウひとつ剥けないわけ? ぐずぐず何やってんのよ。できないならさっさと荷物まとめて出てって!」

新しく来た小野さんが、ここまで激しく怒鳴り散らすとは思っていなかったのだろう。メイドは頬を打たれた衝撃で頭が真っ白になり、数秒遅れて、ぼんやりと頷いた。けれど大粒の涙が、ぽろぽろとこぼれ落ちる。

「わ……分かりました……」

「泣くなって言ってんの。泣いてばっかり。今すぐ引っ込めて。まだ泣くなら、その顔、腫れ上がるまで叩くわよ!」

雨音はもともと虫の居所が悪かった。みすぼらしいメイドが泣...

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