第44章 お腹の子はあなたの子だ

藤原由真は訳が分からず、眉をひそめて訊いた。

「……どういう意味だ」

九条千秋は、どこか苦い笑みを浮かべて口を開く。

「まさか――森川汐里さんがやったこと全部、ただの浮気が原因だと思ってたんですか」

由真は九条の目を見据えた。そこにあったのは、嘘をつく人間の軽さではない。どうしようもない無力感と、痛み。思わず声が漏れる。

「……何があった」

食い下がる由真に、九条は一度、深く息を吸った。諦めにも似た声音で言う。

「藤原社長。正直、あなたと森川さんの生活があんな状態だなんて、想像もしていませんでした。もしもっと早く知っていたら……森川さんに、あんな理不尽な苦しみを背負わせたりしな...

ログインして続きを読む