第111章

「どこだ?」

 そう言って藤原天輝が振り返ると、案の定、背後のテーブルに早乙女珠妃の姿があった。

 瞬間、どす黒い怒りが湧き上がる。彼は忌々しげに吐き捨てた。

「まったく、最悪だ!」

 昨日、早乙女楽己の口から、自分と珠妃に関する記事が出回っていると知らされたばかりだ。実際にその記事を開いてみれば、バーで珠妃が自分の胸に飛び込んできた決定的瞬間が掲載されていた。

 怒りで腸が煮えくり返るようだ。

 どうりで、あの時バーを出る際、彼女がわざとらしくぶつかってきたわけだ。当時は単なる事故かと思っていたが、まさかこの女の計算だったとは。

 言うまでもなく、あの記事も彼女の差し金に違い...

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