第120章

バーの個室。

天宮徳臣は闇に溶け込むような黒衣を纏い、ソファに身を沈めていた。その冷徹な表情からは、隠しきれない不機嫌さが滲み出ている。

手の中のグラスで、琥珀色の液体が揺れていた。

BGMの物悲しい旋律が耳を撫でる中、天宮徳臣は無表情のまま酒をあおった。

三年前、過度の飲酒を咎めた祖母に両親の墓前へ連れて行かれて以来、彼は一滴たりとも酒を口にしていなかった。その禁を破ったのは、ここ数回、すべて早乙女珠妃のためだ。

早乙女珠妃のことを考えれば考えるほど、怒りが込み上げてくる。あの薄情な女め。丸一日以上も姿を消し、あまつさえ自分から逃げ回っているとは!

せっかく用意したプレゼントも...

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