第129章

天宮徳臣は万年筆のキャップを閉めると、口を開いた。

「多い分は詫び代わりだ。昨日の件では怖い思いをさせたからな」

 しかし、昨日の件については、天宮徳臣がすでに早乙女正徳から十分な見返りを分捕ってくれている。早乙女珠妃としては、自分が損をしたとは微塵も思っていなかった。

 少し考え、彼女は首を横に振った。

「やはり、このお金は受け取れません」

 天宮徳臣は有無を言わせぬ口調で返す。

「当初、君が嫁いできた時、我々天宮家は何も渡していない。これはその埋め合わせでもある。遠慮するな。これ以上断るなら、もっと多くを欲しがっているとみなすぞ」

 そう言われてしまえば、早乙女珠妃も口をつ...

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