第136章

宇野火恋は、ただ背中だけを向けて立ち去った。

宇野秀義は知っていた。この妹は物心ついた頃から、兄である自分を歯牙にもかけていない。だが、そんな態度はどうでもよかった。

早乙女珠妃を娶ること――それだけは、幼い頃からの悲願なのだ。

誰に何を言われようと、この思いを断ち切るつもりはない。必ず、早乙女珠妃を手に入れてみせる。

宇野秀義は胸の奥で、固くそう誓った。

天宮邸に戻った早乙女珠妃は、意外な光景を目にした。天宮徳臣が彼女を待っていたのだ。

「戻ったか」

「ええ」

早乙女珠妃は軽く頷き、天宮徳臣の顔を覗き込んだ。何か心に引っかかりがあるような表情だ。

問いかけようとした矢先、...

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