第143章

残念ながら、何度電話をかけても師匠は出なかった。

牛尾浩介はそこでようやく思い出した。今回出発する際、師匠は学生を連れて山に入ると言っていたことを。今は電波が届かない場所にいるに違いない。

師匠に助けを求められない以上、全ての望みを姉弟子に託すしかなかった。

その頃、早乙女珠妃は誰かが自分を頼りにしているとは露知らず、すでに早乙女家に到着していた。

執事の報告を受け、早乙女正徳が玄関へ出て確認すると、果たしてそこには早乙女珠妃がいた。

珠妃の姿を見た瞬間、正徳は前回の件で少しばかり後ろめたさを感じた。

だが、あの件の代償として、自分は彼女に五パーセントもの株式を譲渡している。彼女...

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