第145章

「人の言葉が分からんのか。お嬢様は不在だと言っておろう!」

 その言葉に、牛尾浩介は落胆の色を隠せなかったが、それでも礼儀を崩さずに頼み込んだ。

「そこを何とか……電話番号だけでも教えていただけませんか。急用があるのです!」

「使用人の私が、お嬢様の番号など知るわけがないだろう」

 執事は目を剥いて再び浩介を追い払おうとする。たとえ知っていたとしても、教えるつもりなど毛頭ないという態度だ。

 二人が門前で押し問答を続けていると、騒ぎを聞きつけた早乙女正徳が姿を現した。

「何事だ?」

 正徳の姿を認めると、執事は慌てて説明する。

「旦那様、こちらの男がお嬢様に会いたいと申してお...

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