第226章

宇野秀義が会場に到着した際、彼は乗ってきたタクシーの運転手にチップを弾み、ここで待機しているようにと言いつけておいたはずだった。

 しかし、外に出てみるとタクシーの姿は影も形もない。

 彼は諦めきれずに大通りまで出て車を拾おうとしたが、長いこと待っても車はおろか、人っ子一人通らない。

 ここミラノはすでに初冬を迎えている。早乙女珠妃に会うために気合を入れて着飾った宇野は、自慢の肉体美を誇示しようと派手な花柄シャツを選んでいた。

 そのせいで今は寒風にさらされ、ガタガタと震える羽目になっている。

 震える手で携帯電話を取り出すと、さらに絶望的な状況が彼を襲った。さきほどの通話でバッテ...

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