第238章

早乙女珠妃の立ち去る背中を見つめる天宮徳臣の双眸には、凄まじい怒りの炎が燃え上がっていた。

傍らに控える長島補佐は戦々恐々としながらも、意を決して口を開いた。

「天宮社長、天宮取締役がオフィスで社長に会わせろと喚き散らしております」

徳臣は握りしめていた拳を解いたが、その眼差しに宿る冷気は、吹雪のように人を震え上がらせるものだった。

長島補佐は傍らで立ち尽くし、これ以上言葉を発することができなかった。天宮取締役はもう終わりだ、と直感したからだ。

彼だけでなく、彼に連なる土井家やその奥方も、道連れに破滅するだろう。

天宮取締役が口走った「早乙女さんが天宮家を追い出された」という言葉...

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