第25章

部屋に駆け込んだ清野雪音は、顔を覆って泣き崩れた。

 今の彼女にはもう後がない。一か八か、賭けるしかなかった。

 涙を拭うと、彼女は着替えを済ませ、車に乗り込んで屋敷を出た。

 天宮グループ本社の八十八階。

 執務室で、天宮徳臣はダイヤモンドのあしらわれた一対のカフスボタンをじっと見つめていた。それはかつて、清野雪音から贈られた品だった。

 あの交通事故で、生き残ったのは彼一人。だが重傷を負い、二度と自らの足で立つことは叶わなくなった。

 傷が癒えてすぐ、はやる気持ちを抑えきれずに雪音のもとへ向かった彼を待っていたのは、彼女と富裕層の取り巻きたちによる嘲笑だった。

 十分に彼を...

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