第254章

鍼治療の時間は長く、苦痛を伴うものだったが、早乙女珠妃が傍に寄り添っていてくれたおかげで、時は飛ぶように過ぎ去った。

銀針が抜かれる頃には、びっしょりと寝汗をかいた天宮徳臣は心身ともに疲れ切っていた。

それでも彼は、早乙女珠妃の手を握りしめたまま離そうとしない。

「一度、俺と一緒に天宮邸へ戻ろう。シャワーを浴びて着替えたら、すぐに君を山水居まで送り届けるから。な、いいだろう?」

早乙女珠妃は強引に手を振りほどこうとしたが、彼の力は思いのほか強く、びくともしない。

彼女はわざと表情を硬くして諭した。

「治療が終わったばかりなんですよ。今は安静にするのが一番です。あちこち動き回るのは...

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