第255章

帰宅後、早乙女珠妃は人生で初めての不眠に悩まされた。

翌朝、鏡に映る自分の顔にはくっきりと二つの隈ができていた。早乙女珠妃は苦笑いすると、使用人に茶を淹れさせ、それを数口啜ってから慌ただしく会社へと向かった。

会社に到着すると、コーエンが待ち構えていたかのように駆け寄ってきて、大袈裟な表情で言った。

「珠妃! 昨日は一体どこに行ってたんだい? 一日中姿が見えなかったじゃないか」

「野暮用よ」

早乙女珠妃は素っ気なく答え、オフィスのドアを開けて中へ入る。

コーエンは金魚のフンのように彼女の後ろをついてきた。

「君が忙しいのは知ってるけどさ、いくら忙しくても姿くらい見せてくれないと...

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