第258章

「バカなこと言わないで」

 早乙女珠妃は彼を睨みつけると、ソファに身を沈めて憂鬱そうに言った。

「昨夜帰らなかったのは残業してたからよ。でもさっき、天宮徳臣のオフィスでうっかり寝ちゃって……部屋を出たところで、会社の重役たちと鉢合わせしちゃったの」

「ああら、それじゃあ二人の火遊びもバレバレじゃない」

 コーエンが面白がって茶化すのを見て、早乙女珠妃は呆れたような視線を送った。

「コーエン、昨日私が言ったこと忘れたの?」

 コーエンはハッとして、バシッと自分の額を叩いた。

「やだ、すっかり忘れてたわ。で、どうするつもり?」

 早乙女珠妃は首を横に振る。

「分からない。でもこ...

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