第266章

「探してはいるんだが、妙なんだ。あの女の行方がまるで掴めねえ」

 コーエンは首を傾げながら報告した。

 しばらく考え込んだ後、早乙女珠妃が口を開く。

「彼女は医者よ。特に出産に詳しい。地方の小さな診療所あたりを洗ってみて。身を潜めているとしたら、きっとその辺りだわ」

 コーエンは力強く頷いた。

「了解した。すぐに動く」

 コーエンが去ったその足で向かった先は、宇野火恋のもとだった。

 だが当の火恋は今、自宅で宇野秀義に絡まれ、頭を抱えている真っ最中だった。

「頼むからさぁ、付き合ってもいないのに失恋も何もないでしょ! いい加減泣き止んでよ!」

 火恋は忍耐強く秀義をなだめよ...

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