第274章

「分かった。仕事が終わったら迎えに来る」

 天宮徳臣が立ち去るのを見届け、早乙女珠妃はようやく安堵の息をついた。

 深く溜息を吐き出し、強く瞼を閉じる。心は千々に乱れ、どうすべきか答えが見つからない。

 天宮徳臣の深い情愛は、まるで密に編まれた網のようだ。彼女にとって、それは決して逃れることのできない捕縛そのものだった。

 このような日々は、早乙女珠妃にとって煎責以外の何物でもない。

 むしろ、いっそのこと早乙女家が事を公にしてくれれば、この苦しみから解放され、どれほど楽になれるだろうかとすら思う。

 だが、ここ数日、早乙女家には何の動きも見られない。そう思い至り、早乙女珠妃は金...

ログインして続きを読む