第275章

松本の言葉を鵜呑みにしたわけではない。だが、この男が緒方琴美を探しているという確証は得られた。それで十分だ。

宇野火恋は懐から札束を取り出すと、松本の前に放った。

「あたしたちもその女に用があるの。もし見つけたら連絡して。これは手付金代わりよ。本人に会えたら、残りの謝礼も弾むわ」

そう言い添えて、コーエンの連絡先を記したメモを残した。

松本は名刺を拾い上げ、下卑た笑みを浮かべる。

「へえ、承知しました」

目的は達した。火恋は踵を返し、コーエンと共に部屋を後にする。

二人の姿が見えなくなると、火恋は低く呟いた。

「あの男、信用できないわね」

コーエンも同じことを感じていた。

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