第280章

「役立たず! どいつもこいつも役立たずだ!」

屋敷を出た土井千影は、立て続けに起きる不運に頭が真っ白になるほど激昂していた。

今すぐにでも会社へ乗り込み、天宮徳臣に二人の兄の行方を問い詰めたい。だが、今の彼女にその勇気はなかった。

部屋に戻った彼女は、まるで檻に閉じ込められた獣のように荒い息を吐きながら、苛立ち紛れに行ったり来たりと歩き回る。

天宮徳臣を痛い目に遭わせてやりたいという執念はあるものの、現状では彼に対して手も足も出ないのが現実だった。

一方、そんなこととは露知らず、天宮徳臣はオフィスエリアの入り口で待ち人をしていた。

だが、そこで告げられたのは、早乙女珠妃がすでに出...

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