第282章

電話を切った有賀豪は、受話器を置いてもなお、狐につままれたような気分だった。

早乙女珠妃が、実の父親である早乙女正徳の行方を監視しろと言ってきたのだ。一体どういう風の吹き回しだ?

実の親を監視? 穏やかではない。

疑問は尽きないが、早乙女珠妃の命令となれば、有賀豪に拒否権はない。

彼女の手段が冷徹だからというだけではない。今回、彼女の一言が有賀グループを死の淵から救い出し、起死回生へと導いたのだ。その恩義と手腕を思えば、有賀豪が心服して命に従うのも当然のことだった。

有賀豪は少し考えを巡らせ、早乙女楽己を利用することにした。

「あー、伯父様と伯母様は普段、家でお忙しくされているの...

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