第30章

もし有賀豪があの夜の男なら、あの指輪に見覚えがあるはずだ。

その考えに至った早乙女珠妃は、短く命じた。

「銀行へ向かって」

「了解!」

エンジンが唸りを上げ、車は滑るように走り出し、すぐに銀行へと到着した。

銀行の担当者は早乙女珠妃の顔を見るなり、驚きの声を上げた。

早乙女様、退院されたのですか?」

早乙女珠妃は眉をひそめる。

「どういう意味?」

担当者は以前白井秋葉が提出した書類を取り出し、申し訳なさそうに説明した。

「お母様から、早乙女様が精神を病んで入院されたと伺っております。そのため、後見人としてこちらでお...

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