第56章

その騒ぎは、すでに多くの人々の耳目を集めていた。

異様な光景を目にし、何人かが野次馬根性でこちらへ歩み寄ってくる。

近づいてくる人物の顔を見て、早乙女楽己は呆気にとられたが、すぐに駆け寄ってその腕を掴んだ。

「星哉、どうしてここに?」

柴田星哉は早乙女楽己の手を無造作に振り払い、鬱陶しげに言い放つ。

「早乙女楽己、何度言えば分かるんだ。俺たちはもう別れたんだよ。顔を合わせるたびにベタベタくっついてくるのはやめてくれ」

「星哉さん」

早乙女楽己は今にも泣き出しそうな顔で訴える。

「私のどこがいけなかったの? 言ってくれれば……私、直すから! 絶対に直すから!」

「俺が悪かった...

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