第57章

电话をかけるよりも早く、男の声が響いた。

「誰や、ウチの船で揉め事起こしとるんは」

 こてこての関西弁と共に、若い女たちを侍らせた緒方司が姿を現す。

 襟のないシルクのシャツを身に纏い、オールバックに撫で付けた髪は一糸の乱れもない。口元には葉巻をくわえ、その巨躯からは圧倒的な覇気が漂っていた。

 その覇気は天宮徳臣のそれとは異質だ。彼の纏う空気は、危険でありながらも抗いがたい色気を孕んでいる。

 明滅するネオンライトの下、その漆黒の瞳はジャングルで獲物を狙う黒豹のように鋭く、場にいる全員を己の獲物として見定めているかのようだった。

 彼の視線は迷うことなく早乙女珠妃を捉えた。一瞬...

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