第62章

天宮徳臣は無表情のまま車椅子を進め、早乙女珠妃の前に停まった。

「楽しいか?」

早乙女珠妃はにこりと微笑み、頷く。

「ええ、楽しいわ」

二人が目の前で堂々と仲睦まじく振る舞うのを見て、清野雪音は心臓を巨大な手で鷲掴みにされたかのような息苦しさを覚えた。

幸い、天宮徳臣がすぐに口を開いた。

「行け」

清野雪音は魂が抜けたように、這う這うの体でオフィスを出た。

廊下に出ると、彼女はバッグの中の薬瓶に触れ、その瞳に獰猛な光を宿した。

早乙女珠妃と清野雪音、二人の美女が前後して社員食堂に姿を現した。

一人は明艶で華やか、もう一人は愛らしく艶やか。その対照的な美貌は瞬く間に周囲の視...

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