第64章

かなりの力で噛まれたらしい。天宮徳臣が首筋に手をやると、指先には微かに血が滲んでいた。

「早乙女珠妃、貴様は犬か!」

その怒声が響いたおかげか、早乙女珠妃の瞳に幾分か理性の光が戻る。

「天宮徳臣……」

彼女が手を離し、潤んだ瞳でその名を呼んだ瞬間――ドブンッ!

天宮徳臣は容赦なく彼女をバスタブへと放り込んだ。

頭上のシャワーから冷水が降り注ぎ、早乙女珠妃の衣服を瞬く間に濡らしていく。

蝉の羽のように薄いシャツが肌にぴったりと張り付き、その艶めかしい肢体のラインを露わにした。

天宮徳臣は顔を背け、冷ややかに言い放つ。

「随分と無様な姿だな」

冷水を浴びて意識を取り戻した早乙...

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