第80章

世間は狭いと言うべきか、よりによって二人の視界に有賀豪(ありが・ごう)の姿が飛び込んできた。

有賀は左右に美女を侍らせ、千鳥足でふらふらと入り口から入ってくる。

その姿を目にした瞬間、宇野火恋(うの・かれん)は酒瓶をひっ掴んで殴りかかろうとしたが、早乙女珠妃(さおとめ・じゅき)がそれを制した。

「待ちなさい」

火恋は不満げにドカリと座り直し、悪態をつく。

「姉さん、あとで止めないでよ。あいつの頭、絶対カチ割ってやるんだから」

何も知らない有賀豪は、美女二人を連れて二人のボックス席の目の前までやってきた。相手が誰か気づいた時には、もう逃げるには遅すぎた。

有賀は緊張のあまり裏...

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