第86章

その言葉を聞くや否や、宇野中正は顔をしかめた。

「有賀さんよ、昼日中に押しかけてきたのはそっちだろう。勘違いも甚だしい、わしらには関係のない話だ」

 そう言うと、残りの手土産を有賀林の胸に力任せに押し付け、出口を指差して追い払う仕草を見せた。

「帰ってくれ。見送りはしないぞ」

「いいだろう、お前ら一家の顔、忘れないからな!」

 有賀林は怒り心頭で歩き出し、通りすがりに有賀豪を蹴り飛ばした。

「いつまで這いつくばっている、さっさと立て!」

 有賀豪はわけもわからず土下座させられた挙句、さらに蹴りを見舞われ、渋々とその後を追った。

 だが一つだけ理解したことがあった。宇野家には、...

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