第7章

村上裕介からの返信は、ほぼ即時だった。

『明日の昼、スタジオで会おう。サプライズがある』

その短い文面の向こうで、彼がきっと悪戯っぽく笑っているだろうと、容易に想像がついた。

私はスマホの画面を見つめ、知らず知らずのうちに口角が上がっていることに気づく。

翌日、私は高田誠一と本田美雪に、先にスタジオへ楽譜を取りに行く必要があると説明した。本田美雪はあからさまに眉をひそめたが、高田誠一はただ頷き、「ホテルで待っているよ、綾音」と穏やかに言った。その声には、咎める響きはなかった。

村上裕介のスタジオのドアを開けると、彼はいくつもの機材に囲まれ、ディスプレイの光を浴びながら何か...

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