第10章 そうだ、彼女はきっと私を騙そうとしている!

「訂正しておきます」

桜井結衣は人差し指を一本立て、ゆったりと左右に振った。

「第一に。今日の午後、私が会いに行ったのは桜井楓です。桜井家の代表として、黒崎家からの結納を全部差し出せと言いに来た。ついでに、黒崎家の若奥様って肩書きを使って、桜井グループの泥舟に投資を引っ張ってこい、と。……断りました」

言葉を切り、視線を橘敏恵の顔に落とす。怒りで微かに歪んだその表情へ。

「第二に。あなたが言う『昔の男』の吉田清春。確かに出てきました。でも電話一本だけ。桜井家がわざと寄越して、私を不快にさせようとしたんでしょうね。残念ながら、格が低すぎて。私は二言もくれてやってません」

「嘘をおっし...

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